side 妃那



彼に恋をしたあの日から、もう少しで1ヶ月になる。


相変わらず私は彼を見つめていることしかできていない。



今日は髪型は両サイドの上半分を編み込みして後ろで束ねた。

毛先は癖っ毛でいつも巻いたようにカールしてるからいじらない。


よくこの癖っ毛が羨ましいと言われる。

確かに巻く手間は省けるけど…。


たまにはストレートにしてみたいというのも事実で。



いつものように駅で彼を見て学校に向かう。


靴箱を開けると二通の手紙が入っていた。

差出人を見ると、どちらも二年生の先輩から。



きっと昨日の放課後にいれて行ったんだと思う。


私が帰る時にはなかったから。


教室に入ってから手紙を読むと、どうやらそれはラブレターみたいだった。



入学してから何回かこういうのはあった。

けど奈緒ちゃんが勝手にその手紙を私から奪って、差し出した人に返しに行っちゃってたんだ。


奈緒ちゃん曰く「あたしの妃那に手ぇだすやつはぶっ飛ばす」って。



相変わらず綺麗な顔をして中身は男前な奈緒ちゃん。



私に好きな人がいるって知ってるから、こうして私を守ってくれてるんだと思う。



そこまで弱くないのに。



自分で断れるよって言っても、奈緒ちゃんは頑なに許してくれない。


私が断りに行く時はいつも奈緒ちゃんもついてくる。



本当、心配性なんだから。