「ねえ!ウチ橘桃ってゆーの。よろしくねー?」
…馬鹿そうな子。
「ねー?聞いてるー?」
『あ…。ま、間宮奈緒です。よ、よ、よろしくお願いしますっ。』
一瞬顔をしかめた。
あたしみたいなタイプはあまり好きではないのだろう。
「てゆーか、前見えてるー?」
どうやらこの前髪のことを言っているみたいだ。
奈緒の前髪は目がちょうど隠れる位置まで伸びていて口元しか見えないのだ。
橘桃の小麦色の肌が伸びてくる。
奈緒の横の髪をひと束すくう。
「めっちゃサラサラ!なんのシャンプー使ってんの!?」
あー。うっざ。