どれくらい目をつぶっていただろうか。 目を開けると手のひらにあるはずの石がなく、月が雲で隠れていた。 辺りを見渡してもあの石がどこにもない。 『さっきの光ははなんだったんだろ?』 首をかしげた瞬間、ものすごい風が吹いてきた。 飛んでいきそうなマフラーをギュッとつかむ。 『なによ!急に!』 手袋をはめ直す。 風が顔に刺さり痛い。 靴下二枚重ねにしてくればよかった! 『もう!霜焼になったらどうしてくれんのよ!』 あまりにも寒すぎて小走りで家まで帰った。