____ねえ、カズくん。いつからだろうね。

私たちがこんな風になってしまったのは……


幼いころから人見知りだった私には、カズくんしかいなかった。

カズくんの家族と私の家族は家族ぐるみの付き合いで、物心がついた時にはもうカズくんは私の隣にいたよね。

昔からカズくんは優しかった。


『渚っ!』


カズくんがそうやって呼んでくれる名前が大好きだった。

遊びに行く時も、私をいつも連れて行ってくれた。

私がさみしい思いをしないように。悲しまないように。

私が人見知りで、周りと距離ができてしまった時も、カズくんだけは私の味方でいてくれた。

それが何よりも、何よりもうれしかったんだよ。


だけど、いつからだろう。

確か、中学に上がったくらいだったと思う。

カズくんは____変わってしまった。


『カズくん!あのね、今日ね…『わり、俺今忙しいし』

『あ!カズくんっ…『俺、もう行くから』


私を避けるようになったよね。

私には何が何だか分からなくって、夜に人知れず一人泣いてたっけ。

ちょうどそのくらいだったと思う。

カズくんは女の子たちと遊ぶようになった。

いつもカズくんの周りにはかわいい女の子がいて、私のはいる場所なんてなかった。

昔のカズくんじゃ考えられない光景だった。

時間というものは怖い。

こんなにも人を変えてしまうのだから。


好きだと気づいた時には遅かった。

カズくんは私のそばにはもういない____________。



街灯にほんの少し照らされた公園に一人。

星たちの儚い光が私に降り注ぐ。

そろそろ、戻らないと優愛が心配するかな。

優愛のことだからきっと今ごろ私を探しに町の中を走り回っているに違いない。


「渚っ!」


え……。

聞き違いか。

最初はそう思った。

自分の耳を疑った。

この人がここにいるはずがない。

だけど、振り返って間違っていなかったと気づく。


「カズ……くん」


なんで、いるの?

なんで、私の名前を呼んでるの?