ゆかが、部長の元へ去ったあと、私は3分の2まで終わった企画書にラストスパートをかける。

(早めに終わらせないと、部長お昼に行けないよなぁ……)

カタカタと人の少ないデスクで私の打つキーの音が響く。



企画書があらかたまとまったところで手を止め、私は提出書類も持って部長の元へ向かった。


ーコンコン

「部長、弓野です。」

「おぉ、どうぞ。」

「失礼します」

木枠のドアを開けると、そこには優しそうな白髪頭の中年と
メガネをかけた背の高い若い男性、男にしては長めの髪の金髪の若い男性二人が立っていた。

「新人さん……ですか?」

女性の新人だと思っていた私は、少し驚いて若干声が詰まる。

「あぁ。どちらも優秀な新人クンだよー
右の眼鏡をかけているのが、柿谷 帝ーmikado kakitaniーくん。
左の金髪クンが、椎葉 彩乃ーayano shiibaーくん。
彼らは、帝邦大学の出身でね。弓野さんの後輩くんたちだねぇー」

ニコニコと笑いながら部長は二人を交互に見る。

帝邦大学とは、私の出身大学でもある、とても有名な一流大学だ。