ひょろ長くのびた手足を、 器用に動かして、 少し狭いテーブルと椅子の間に入ってくる。 近づいてきたウェイトレスに「ブルーマウンテン」と注文してから カバンを自分のわきに置いた。 気づかずにいたが、顔にたくさんにきびの跡がある。 あたしは、にきび面は好きではなかったが、 好きになれそうだ。 あらためて岸谷さんを、細かくながめてみる。 不思議な翳りを映す目、少しひくく大きめの鼻、 しわのないぴっとはった唇。