あたしは、女たちが眉根をしかめ別の種の女を罵倒する時、 口もとから、ねちねちと発せられる生臭い粘液が、 別の女をからめとり、 窒息させ、腐敗させていくのに身ぶるいした。 母の中に、そんな女たちの顔をみた。 長年耐え忍んできた不満は、 他者をおとしめることでしか、 自分たちの名誉を強調することでしか、 満たされないのかもしれない。 母は自分は崇高であり、 それだけの意識以外には、 自己を確立できない女たちの一人なのだ。