彼があたしを抱くとき


岸谷は何をしているだろう。

ベッドの上でブラウスのボタンをかけているあたしに背をむけて、
スケッチブックの仕上げをしていた。

あんな路地でも今日は夕焼けの赤さがわかる日だった。

夕食を済ませていない。

千葉駅で弁当を買えばよかった。

それよりお茶が飲みたい。

岸谷は今夜何を食べたのだろう。