彼があたしを抱くとき


岸谷のTシャツの肩にまぶたをおしつけて涙をぬぐうように、
あたしは泣き出した。

彼は、ただ手が棒か何かでできた付属物であるかのように、
だらりと下にさげたまま立っている。