彼があたしを抱くとき


岸谷は、スケッチブックの画面の左上に、かいてある小さな森の木々に丹念に翳りをつけている。

あたしがそこにすわっていることなど、忘れてしまったようだ。

が、左手がかすかにふるえているのが、
あたしを意識していた。