6時過ぎ、急いで帰ってきた先生は、ギプスを見て


「空、かっこいい武器つけてんな!」

と言った。


「これ、すごい強いよ」


と空も笑っていて、自分の弱さというか、マイナス思考なところが見えてしまう。



「空、油性マジックで落書きしていいぞ。友達にもいっぱい書いてもらえ」


先生は、油性ペンを私に渡して、今空がハマっている戦隊ヒーローの絵を描いて、と言った。



「いいの?」


「いいのいいの。空の一部だもん。綺麗にしてるより、好きになる方がいい」




何度も空に描かされて上手になったヒーローの絵。
空は、目をキラキラ輝かせて喜んでくれた。


さすが、先生だな。

高田コーチも、先生も、考え方が素敵。




「直、しばらくは大変だけど、頼むな。風呂はできるだけ俺が入れるし、無理するなよ」


「ありがと。やっぱり、先生はすごいなぁ。私、悲観的になってたけど、空あんなに嬉しそうで……」


「骨折なんて、教師やってると1年に何人もいるからなぁ。どの子も落書きして、最後には名残惜しそうにしてる。松葉づえも男子なんかバットにして遊んだりしてるから」



戦隊もののテレビを見ている空を、見つめる私と先生。



「それにな、人として成長できる。次に骨折した友達がいたら、空は絶対に手伝うよ」


「そうだね、ほんとだね」


「2週間だよ、一生じゃない。不自由な生活をすることで、健康に感謝できるし、助けてくれる人のこときっと忘れない」



熱い目をした先生、今教師の顔してる。
こういうの大好き。