「新しいクラスの子、どう?」
家ではあまり学校のことを話さない先生。
毎年この時期は、先生も落ち着かない様子でちょっと緊張してる。
「まだまだ話せてないな。1年の担任はやっぱり緊張する。自分の位置っていうか、新垣先生ってのがみんなもどんな先生なのかわかってないから、そこを確立するのが大変」
「そうだよね。2年や3年だと、あ~あの熱い新垣先生だ!ってわかってるもんね」
「そうそう、本当にそこだよ。いきなり熱い話して、引かれたら悲しいもん」
先生は口先をとがらせて、少しスネた顔をした。
かわいい。
「大丈夫だよ。先生は、絶対に受け入れてもらえる先生だから。自信持ってね」
「ありがとう。焦らずいくことにするよ」
新垣和人。
体育の教師。
誰よりも熱く、誰よりも生徒想いの最高の先生だと思う。
かっこいいってだけじゃない。
人気の理由は、そこじゃない。
確かにかっこいいんだけど。
真剣にぶつかってくれるのに、ちゃんと逃げ道も作ってくれる。
ひとりひとりの人生に向き合うっていうか、まるごと抱っこしてくれるような先生なんだ。
妻になってみると、そういう夫を持つと、誇らしいっていうのと同時にちょっぴり寂しくなったりもするんだけど。
でも、やっぱりそういう先生が大好きで、尊敬しているから、そのままの先生でいて欲しいんだ。