空は、パパが来てくれたことに喜んで、何度も手を振っていて、試合に集中していなかった。
そんな空もかわいくて、私は笑っていたんだけど、先生はちょっと怒ってて。
なんだか、父親なんだなって感じて。
「パパが見てくれてるから嬉しいんだよ」
「さっきのチャンス、どうして俺の方見てるんだよ。ボール見てなかっただろ」
「ふふ。そうだね。でも、それだけ嬉しいんだよ」
私たちがこそこそと話していると、ボスママが大きな声で冷やかした。
「空君パパとママ、ラブラブ~!いいなぁ、そんなかっこいい旦那さんで」
「うちなんか、太ってるし、背も低いし、こんなとこ恥ずかしくて連れてこられないわよ」
「そうそう!空君ママも若いからねぇ~」
嫌味を言っている自覚はないかもしれないけど、チクチク刺さる。
先生は、にこやかに笑った後、私の背中をポンと叩いた。
その手から伝わる愛。
『気にすんな』
そんな風に感じた。