白いジャージリターンズ~先生と私と空~


「まぁ、それはそうだな。ごめん」

「そうだよ。意気地なしだなって思うよ、俺」

鼻先を指でツンと触る嵐。


「好きだからこそ怖いんだよ。嫌われたくないしな。それだけ嵐はちゃんと好きだってことだ」

「そうなのかな。彼女ができたら……あの子と付き合えたら俺のこのモヤモヤもなくなるかな」

「うまく行くといいな。好きな人に好きになってもらえると世界が変わるから」

「そっかぁ、そうなんだ」


遠い目をした嵐を見ていると、直を思い出した。

家庭の悩みは、どうしようもない。

誰にも言えなかったり、ひとりで抱えて思いつめたり。

学校で笑ってるからって元気じゃないってこと、直から教えられた。



「俺は、何も助けてやれないけど、嵐のこといつでも受け止めるから。いつでも嵐がつらいときは俺が抱きしめてやるよ」


冗談っぽく笑った俺だけど、本気でそう思ってる。

ケラケラ笑って、俺を叩いた嵐。

この笑顔を守りたい。

どうか、嵐が幸せであるようにと……


それは、嵐に限ったことじゃなく、
みんな……みんなが幸せでいてほしい。


「元気もらったわ、じゃ~また」

「おう」


少しだけスッキリした顔で出て行った嵐に手を振り、俺は自分が何もできないことに
もどかしさを感じていた。