私は、空のことで悩み、行き場を失い、高田コーチに、淡い恋心を抱いた。

それは、事実なんだけど……



もしも、高校時代に新垣先生と、高田先生がいたとしたらって考えたんだ。

そう考えると、一ミリも迷うことなく、新垣和人を好きになってたなって。

だから、やっぱり……
先生は特別な存在で。


つらくて、独りぼっちな気がしていた時期に高田コーチが支えになってくれたから、ちょっと勘違いしたのかな。

それと、先生にちょっと似ていたから。
だからかな。


先生が遠くに感じて、先生を探してたのかな。

本当は先生に助けてほしかったし、先生に甘えたかった。




私は、子供を授かり、育てることで、大きな壁にぶつかった。

初めて、自分が自分でないような感覚になり、笑えなくなった。

長い人生で見ると、一瞬のような時間だけど、私にとっては、長くつらい時間だった。


でも、無駄じゃない。
今後の人生にプラスになる時間だった。


誰かが同じように悩んでいるとき、私はそばにいたい。

私も同じだったよ、私も眠れなかったよ。

子育てって楽しいだけじゃないよねって、隣で何か手伝いたい。



そんなことを考えながら、私はあの場所へ向かっていた。