その夜、空が寝た後、
アイスコーヒーを飲みながらベランダで直と話した。



「いい子だね。感動しちゃう」

直は、予想通りの反応をしてくれた。


「まさか、俺だとは思わなかったんだけど、ダメだなんて言えなくて」

「私も同じ気持ちだったもん。好きでいるだけでいいのにって。卒業までの日々を後悔しなくないってわかるよ」

「なんか、ごめんな。最近生徒から告白とかなかったのに」

「ふふ。まだまだかっこいいってことだね」

直は、無理しているようにも見えず、余裕な笑みを浮かべていて、それはそれで不安になる。


「嫉妬、しないの?もしかして、俺のこと、そんなに好きじゃなくなった?」


「あはははは、先生、何言ってんの!嫉妬はするけど、原田さんのことは嫉妬とかじゃなくて、不思議な気持ちっていうか、ね」


俺の腕を引っ張ってそう言った直。

直は、自分の高校時代に戻ったように、俺への想いを話してくれた。

「原田さんときっと気が合うと思うな。先生の白いジャージとか、先生の二の腕とか、ひげとか寝ぐせとか好きなんだろうな」

「バカぁ~」

「うらやましい。私は、先生してる先生を見ることができないもん。今もやっぱりかっこいい先生なんだろうな。だから、そうやって、好きになってくれる子がいるんだよ」