お風呂から上がると、テーブルの上にグラスがふたつと、缶ビールが置いてあった。


「お疲れ様ってことで一杯だけどう?」

先生は、缶をプシュっと開けた。

「わぁ!今日、飲もうって考えてたのに忘れてた!実は、サッカー教室で仲良くなったママが言ってくれたんだ。骨折大変だったから、空君寝たらお酒でも飲んでねって」

「へ~!いいママさんだな」

「さっき、空が話してた裕介君のママなんだ」

「いい人そうって言ってた人?」

「そうそう!大人で、自立してる感じが好感持てるんだ~」

「群れてるママよりいいと思うよ!知り合いができて良かったよ。心強い」


ビールで乾杯した私達は、すぐに頬が赤くなった。


「酔うと、襲っちゃうぞ~」

「グラス一杯で酔うの~」

「最近飲んでないから、もう酔った」

「エロスイッチ入ってる顔してる~」


テーブルの下で私のふくらはぎを蹴ってくる先生。

きっと、二人目、欲しいよね。
それは、私も同じ。

でも、言わないで我慢してくれてる。

先生、ごめんね。



「先生、今度たっくんとゆかり呼びたいな」

「お!もうお腹も大きい頃だよな。空も落ち着いたことだし、パーティーしたいな」


ゆかりが話してくれたことがある。

ママ友に、直を取られちゃうんじゃないかって不安だったって。


この先、どんなにいい友達ができても、ゆかりだけは特別だよ。

会う機会が減っても、何も変わらない。

いつでもあの頃に戻れる。
高校生のふたりに。


「今日は、俺の隣で寝てくれる?」

「いいよ。空には内緒だよ」


空、ママ、パパの順で寝た。

いつもは空が真ん中。



先生のひげを触ったり、
髪を触ったりして。

久しぶりに先生のファンとして、じっくり先生を観察しながら寝た。