お姉ちゃんは私には何も言わずに、ただ空といっぱい遊んでくれた。
私は、ご飯の用意をしたり、ゆっくり過ごすことができた。
先生に会いたいけど帰るねって、暗くなる前に帰った。
お姉ちゃんがいなくなった部屋はとても静かで、なんだか泣いちゃいそうに寂しかった。
空とふたりきりが、怖いなんて。
想像もしたことがなかった。
大好きな大好きな空なのに。
「空、ご飯にしようか」
「ママのご飯きらい」
空は、さっきまでの笑顔も消えて、不機嫌になった。
「カレー作ったから食べようね」
「パパと食べる」
ギプスのついた足をぶんぶん振り回し、壁を蹴る空。
ストレスがたまっていることはわかるし、年齢的にも何でも反抗する時期。
「せっかく治ってる途中なんだから、蹴ったらまた折れちゃうよ」
「治ってないもん。いいもん」
今までの空がおりこう過ぎた。
わかってるのに。
「じゃあ、もうママ知らないからね」
自分がこんなことを言ってしまうなんて。
「もうママ一緒に寝ないよ」
空は、ギプスを床にぶつけて、私をにらむように見ていた。