【直、空の骨折どう?】
昼寝をしている空の寝顔を見ながら涙が出そうになっていた時。
お姉ちゃんからメッセージが届いた。
【ギプス、ちょっと長引きそうでかわいそう】
と返信すると、
【ちょっと近くに行く用事があるから寄る】
とすぐに返事が来た。
今は、家に誰かが来てくれるってことが嬉しかった。
空とふたりきりは息が詰まって……
でも、ママ友を呼ぶ気にはなれなかった。
午後3時過ぎ、イチゴのミルクレープを持ってきてくれたお姉ちゃん。
ずっと使っていなかった紅茶の缶を開けると、懐かしいような香りがした。
最近はコーヒーばかりだった。
「空、頑張ってるね。こんな小さいのに腕が使えないのはつらいよね」
「うん。頑張ってる。頑張りすぎてるから、きっと空も疲れてると思うんだ」
輪切りレモンを浮かべた紅茶にミルクレープ。
なんだか、ほっとして。
「直、美味しいから感動した?」
涙目の私を見て、そんなことを言う。
「直、たまには自分にもご褒美あげないとダメだよ~」
「ありがと、すごく美味しい」
これがお姉ちゃんなんだ。
不器用な優しさ。


