暗闇のラメント

救急箱を出してきて、脱脂綿に消毒液を含ましていた。

「で、何があったんですか?」

朝から怒鳴り声とかあまりないしね…

「あー。まあ、彦武君には話しても良いか。実はな、」

と、朝のことをすべて話した。

「そう言うことなの。で、彦にぃに血を流してもらったわけ。」

それを最後に付け加えると、もうそれ以上言うんじゃない。

という目でお父さんが私を見てきた。

「そうなんですか…。でも、あれから何年ですか?10年以上は経ってますよね?僕はてっきり国に帰ったと思ってました。」

私たちもそうだ。母が出ていったのは、浮気をしたから。

相手の人は同じ国の人だった。

だからと言って、その国がそういう人が多いのだろう。とか偏見はもたなかった。

たまたま母はそんな人だったのだと人格に呆れている。

「とりあえず、今から仕事行ってくるから。」

と、お父さんは出ていってしまった。

留守のときに、母が訪ねてきたらめんどくさそうだ…。