暗闇のラメント

目が覚めるとまだバスの中だった。

当たり前か。

「あれ?寝てた?そんなに経ってない?」

彦にぃが神妙な顔をしてる。

「いや。20分寝てたよ。ただ…動かないんだ。」

確かに寝る間際に見た景色とそんなに変わらない。

事故になってないだけ奇跡と言える。

「いま6時かぁ…これは腹くくって行くしかないね。」

「お前は腹なんて括らねえだろ。いつも行ってんだから。」

いつもって…そんな毎日行って…るか…。

「そんなことよりお腹がすくね。」

「バス降りたら牛丼大盛り食べていいから我慢しろ。」

「奢ってくれるの?!」

そう言うと、彦にぃが頭をポンポンと撫でてきた。