「とりあえず王子にお礼言っときなよ、ハルのこと捜してくれてたんだから」
王子が私をー…?
そういえば鍵開けてくれたのは王子だった
「でも…たまたま屋上に寝に来たんじゃないの?」
「なわけないじゃん、だって王子わざわざ転校生に問い詰めに言ったんだから」
「えー?」
「もしハルになんかあったら許さないって、いつもボーッとしてるだけの男かと思ってたけど、ちょっと見直した」
滅多に人をほめない紗和がそんなこと言うから本当なんだと思った。
「でも、気まずい…」
「いいから行ってこい!」
紗和に怒鳴られて、しぶしぶ廊下に出た。
B組まではすぐそこなのに、やっぱりなかなか足が動かずにいた。