天然王子

 

「つか、鍵閉められたってどゆこと?」


私の目線に合わせて田熊がしゃがんだ


「転校生に騙されて、屋上に閉じ込められました」

「っはぁ!?え、そしたらもしかして俺ってめっちゃ巻き添えくらってる!?」

「そうみたい☆」


田熊はハァとため息をついてドアノブをガチャガチャとまわした。


「……マジかよ」

「どうしよ凍死とかしたら」

「はぁ?」


秋だって寒いもん

もしこのまま誰も助けにきてくれなかったら…


「つかお前なんで半袖なんだよ」

「試合直後は暑かったんですもん」


田熊が今度は呆れたようにため息をついた

私が下を向いて体育座りをして落ち込んでいると、バサッと何かが肩にかかった。


「え」


顔を上げると、私の肩には田熊のジャージがかかっていた。


「ま、それで凍死はねーだろ」


田熊のくせに…
カッコつけやがって


「……餓死もあるかもよ」

「バーカ」