「ゔーーん…」


学校に着くと、私は必死に読書をしていた。


「え、何…"初心者でも簡単!ケーキ作り"?」


紗和は私の読んでいる本のタイトルを口に出すと、首を傾げた。


「明日、王子の誕生日なんだって」

「へぇー…祝うの?」

「そう、サプライズ!!!」


私の作戦では、準備が中盤にさしかかった所で家庭科室に王子を呼び出して、驚かす!

先生も明日は家庭科室使う授業ないから教室貸してくれるって言ってたし

だからケーキ作るんだっ!


「どーでもいーけどお前、料理できんの」


机の上にドサッと鞄を置いて、田熊が横にドカッと座った。


「出来ないから読んでんじゃん!」


私はケーキの本を田熊の目の前につきだした。


「まぁ…普通の人ならちゃんと分量見て本通りにやればうまくいくんじゃねーの。普通の人ならな」

「なにそれまるで私が失敗するみたいな言い方」

「だってお前みたいに呆れる程どんくせーやつに俺今まで会ったことねーよ」

「本人の目の前で陰口はやめてくださーい」


悔しいけど田熊は家事やってるから料理うまいんだよね…

こんな人が私より料理上手なんてむかつく…