王子の両手が私の背中にまわった。


「……俺、ほんとは思ってないよ、あんなこと」

「うん」

「…走ったのとか、すっごい久しぶりだし……」

「うん」

「だから……」


王子は、私の肩を掴むと目を見つめて私に言った…


「ちょっと、そこ正座して」

「へ?」


わけがわからないまま、その場に正座すると

王子は膝の上にゴロンと横になった。


「え…なぜ膝枕……?」

「……疲れたから」


あぁ、久しぶりに走ったから、疲れて眠さの限界だったのね?

って、でもこのタイミングで寝る!?普通!!!

あ、でも…それが、王子か。

私は目を閉じて小さく寝息をたてている王子の頭を、そっと撫でた。