そんな紗和、紗和じゃない!

私は紗和の両肩を掴んでユラユラと前後に大きく揺らした。


「紗和!目を覚まして!!」

「なに…」


紗和はティッシュで鼻をかみながら私を見た。


「佐竹は、カッコよくないよ!?」

「………なにを…突然…」

「だって!!」

「あたしもバカじゃないし、そんくらいわかるって」


紗和はハァとため息をつくと、私の腕を振り払い、枕を抱えてベッドにゴロンと横になった。


「だから、恋って不思議なんじゃん…」


だめ…だめだわ、この子。

もう完璧ハマっちゃってる。

キャラ、見失いすぎてるよ?


「うー…紗和が壊れた…!」


私もベッドにうつ伏せに飛込んだ

そのため、布団に鼻を強打した。


「いたー…っ」


涙目で鼻を擦っていると、私の携帯が鳴った。

一人だけ、音を変えてるからすぐわかる。

この着信音は…王子だ