天然王子



―カサッ


「…俺も、言ったよね?」


誰かの、足音がする。


「俺は"いい人"じゃないって」

「え?」


右腕がグッと引っ張られて、前のめりになる

片手はしっかりとシュンくんに捕まれていて、もう片方の手はシュンくんの胸の上にあった。

私の背中はシュンくんの残った片手によって支えられていた。


「しゅ、シュンくんっ!?」

「ごめん羽矢、俺いい人やめる」


ボソッとシュンくんが呟く。

羽矢…って…え、羽矢!?


「…離してくんない?」


私のでも、シュンくんのでもない声が暗闇に響く。

シュンくんに強く抱きしめられてて見えないけど

この声は紛れもなく…


「ハルから離れろよ」


王子はシュンくんの手を無理矢理私から離した。

いつものふんわりした口調…なんだけど!

目が笑ってないよ…王子?