「えーと…その…」
目の前の王子は腕を組んでほっぺをふくらませて…明らかに膨れてらっしゃる!!!
そして私はなんとなく王子の前に正座
「はや」
「え?」
「羽矢、広瀬羽矢だよ。俺の名前」
あぁ…!確かそんな名前だった!!
私がポンと手を叩くと王子はハァーと長いため息をついた。
「ほんとに忘れてたんだ、名前」
「いや…その……
だって!広瀬くんだって私のこと名前で呼んでないじゃん!!」
「え?呼んでんじゃん、"ハル"って」
「え?」
「…………え?」
これはひょっとして…
ひょっとしたりする?
「もしかして私の名前忘れてたりする?」
「え…だって…ハルはハルでしょ?」
やっぱりー!!!
王子も私の名前知らないんじゃん!!!
「春香だし!」
「…………あぁ!!」
あぁって!
結局…私たちは…
「お互い様、だね」