突然、ふわっと何かに包まれた


「へ?」

「よく…昔親がこうしてくれたんだよ。」


王子にぎゅっと引き寄せられて頭をぽんぽんと優しく撫でられた。


「…こうしたら、泣きやむんだって」


やばい…やばいやばいやばい

顔が見えてなくて良かった。

今の私きっと顔真っ赤…全身が熱い…


「"おまじない"」


私はなぜか王子の腕の中で…

王子の心臓の音は至って正常で…

いつもと変わらないはずなのに、なんだか今日の王子はよくしゃべるなぁと思った。


「……あ、そーだ」


王子はそう言ってその辺をあさると、私に何かをつけた。

途端、視野が狭くなった。


「……それで…腫れた目は隠せる…ブフッ」


言いかけて途中で王子は口に手をあてて横を向いた。

私はわけがわからずに制服のポケットから鏡を出して見た。


「これは…!」


鼻メガネ…?


「なにそれ!!?」


目の前でお腹をおさえながら大声で笑っている王子に、つられて笑ってしまった。

前までは、王子が笑った所なんて想像できなかった。

だからなんか少し…少しだけだけど、王子との距離が縮まった気がした