....それ、は。 私、わかってる、って。 先輩も、知ってるはずなのに。 今、言うってことは。 「...........」 顔を上げて、先輩の顔を見つめる。 赤い顔をした私を見つめて、彼は悔しそうな顔をした。 「...ちゃんと、覚えててね」 その言葉と一緒に、手が離される。 私は唇を噛んで、すぐに彼から離れた。 踵を返して、階段へ走る。 先輩は、追ってこなかった。