「えーっと、ここから歩いて十分でしたっけ?意外と近いですよね」

「........」

「えへへ、遊園地とか小学生の頃以来ですよ~。中学の修学旅行でも行きましたけど、あれは時間限られてますもんね。今日は思いきり遊べますね」

「........」

「....えっと、そう!遊園地入ったらまず最初に何しましょう?私、お腹はまだ空いてないんですけど先輩は....」

「可愛い」

「え?」

「今日の格好。可愛いね、百合」


ギャーー!!

叫びそうになって口が大きく開きかけたけど、とっさに両手で押さえた。

なに!?なに!?不意打ち!!


「う、ええええ、い、いきなりっ....」


確かにさっき褒める褒めないの話してましたけど!

心の準備ぜんぜん出来てなかったよ!


混乱して、口から狼狽えた声しか出ない。

先輩は私の反応に、嬉しそうに目を細めた。


「それだよ、僕が見たい顔。君に褒められるのも悪い気はしないけど、僕はその顔を見る方が好き」

「....ズ、ルい」

「ズルくないよ。ズルいのは百合でしょ?僕が君のこと好きなの知ってて、僕のこと褒めてくる」


それはわかってますけどぉ!

先輩は!ただでさえ格好いいのに!!

こういうことしたら!アカンでしょーが!