起きろ、と声が聞こえた。
我はまだ、と言い、暗闇の中を歩く。

もう、少し…

✽✽✽

「起きなよ、朔夜」
「………っぎゃぁああぁお前誰…!?」

 目を開けると、端正な顔の男の子が我の顔を覗きこんでいた。

「……誰、ですか。」
「おや、言い直したね、寝ぼけていたのかい?」

少し、しゃべり方が変わっている子だな。
我は改まって彼を見つめた。

青みがかっている綺麗な黒髪、
目は水色で、澄んでいる。
ひとことで言うと、
神秘的な美少年だ。イケメンだ。

「…何見ているんだい?」
「っ!!」

男の子はおかしそうにくつりと笑った。

「…いや、あの…ここ、どこかな、と」
「あぁ、それかい?早く聴いてくれればいいのに、」

聞けぬわ。
初対面の男の子にんなこと聞けるか。

「天界さ。」
「…モウイッカイオネガイシマス」
「仕方ない子だね、耳の穴かっぽじって良く聞くといい。」

 この人、耳の穴かっぽじってとか、言うんだな、意外だ、とか考えて自分を落ち着かせる。

「天界だよ。」

…もうヤダ落ち着けない