『知ー佳ー!!
 おっはよー!!』


次の日、登校するなり、奈々が飛びついてきた。

これだけ元気いっぱいの声に、行動に、私は微笑む。




『奈々、おはよ。
 もう具合はいいの?』




『平気だよー。
 連絡くれたのに返せなくてごめんね』


奈々はそう言って、両手を顔の前で合わせる。





『ううん、大丈夫だよ。
 奈々が元気になってくれて良かったよ』



私がそう言うと、奈々は困ったように微笑んだ。





『実はね?
 昨日、由樹が来てくれたの。
 それでね、本当に好きだったら、自分の口で言えって怒られちゃった』




『……え……』




『知佳、ごめんね…。
 あたしが代役を頼んだせいで崇人に何か言われなかった?』




『あ…ううん、別に』




『良かったー。
 それで、今日こそ、あたし、崇人に告ろうかなって…思ってるんだ』






……え?


もう一度、奈々が言うの?


崇人、奈々にまだ返事してないの?





なんで?


だって、崇人が好きなのは、奈々、だよね?


そうだよ、奈々のはず。



私だって代役を頼まれて、崇人に奈々の想いを伝えたはず…




崇人…もしかして奈々から直接聞くのを待ってるのかな…?








『崇人が来たら、あたし、呼び出してみる!』



奈々がそう言うと、後ろのドアから崇人が入ってきた。





『あ、崇人ー』


奈々はそう言って、崇人に寄っていく。



何か崇人の耳元で、囁いてる感じ。


崇人はそのまま自分のカバン机に放り投げると、そのまま廊下の方に出て行ってしまった。





私は妙に二人のことが気になって、気になって仕方なくて。


そのまま二人の後を追いかけた。