ジュリエットじゃ終わんない

怒りの収まらないあのヒトは、腕に掛かってたバッグを、ヤケクソみたいに投げつける。



「やめて下さい!」

さっきより強い目と口調の制止。



「うるさいわね!
いーかげんに離しな…」

「もう関わらないんで!」


掻き消すよーに発せられた柊也の言葉に…



あのヒトだけじゃなく、
あたしの方がきっと、反応した。



「柊っ…」

「約束出来るの!?」


今度はあたしが遮られて…



「こーゆーの、やめるなら」

「ちゃんと守りなさいよ?」


勝手に話が進む。



「ちょっと待ってよ!
あっ、柊也!」

「約束だからね!?」


あたし達の言葉を背中に受けたまま、立ち去ってく柊也。



抜け殻みたいに立ちすくむ あたし…




力なく視線を落とすと…
今のやりとりで落とした、2人分の本が目に映る。



「行くわよ、深紅!」

「…

待ってよ。ちゃんと買ってくから…」


本を拾って会計して…



帰宅した部屋で、ひとり佇む。