もう、なにも考えられなくなった。 失った。 もう元の日々には戻れない。 彼女の抜け殻を背負い、なんとか公園に辿り着く。 そして汚れないようにベンチに置いた。 もう胸元は血に染まっていたけれど、これ以上僕によって汚したくなかったんだ。 僕も一緒のベンチに腰掛けて、生気のない頬を撫でながら呟いた。 「綺麗だよ……だから、笑って?」 だけど幸乃の顔は変わらない。 僕が指したときと同じ顔をしている。