【責めてはなりません。決行はあと2時間後、9時です。それまでに決めて置いてください。死ぬか、死なないか――】 パソコンの電源が切れる。 音声だけが、耳についた。 【――彼女を殺すか、殺さないか】 僕が殺そうが殺さないが、幸乃は死ぬ。 幸乃は知らない奴に殺されるより、僕に殺された方がいい。 僕が幸乃を殺さなければ殺され、殺せば殺されない。 僕にとって、殺す方が断然有利だった。 幸乃の言葉を思い出す。 ――『貴方に殺されるなら、本望よ』 本当に? それならば、僕は君を殺すよ。 君の為に。