殺人ごっこ



「無理だ……やっぱ、無理だよ!」

【彼女は言ったでありませんか、本望、だと】

「だから、無理なんだよ! あんなに想ってくれているのに……裏切ることなんかできない!」


僕は付けっぱなしにしてあったパソコンに叫んだ。

幸乃の家から全速力で走ってきたので、息は荒い。


【これは絶対命令です。逆らうのならば、貴方を殺します】


僕の代わりに、幸乃が。

幸乃の代わりに、僕が。


「いいぞ、いいよ! 殺せよ! 失うくらいなら……死んだ方がマシだ!」


失いたくない。

失ったら、生きる希望をなくす。

それならば。


【けれど凛太郎様。貴方が殺さなくても、我々が殺します。結果は貴方が死ぬか、死なないか、なのです】


幸乃は、死ぬ?

それは決められたこと?


【それならば、貴方が殺してさしあげなさい。彼女もそれを、望んでいる。見ず知らずのわたくしどもに殺されるよりも】

「なんでだ? なんで、幸乃が死ななくてはいけない?」

【それは言えません。貴方が殺し終わったら、話します】

「卑怯だぞ! 言えよ、言えよ!」


僕は必死になって叫んだ。

どうしてだ、どうしてだ。

僕がこのサイトに登録したからなのか?

それだったら、もう、自分を責めるしか――