「僕にないもの、全て持っていて……」
ずるいね。
同じ人間なのに。
こんなに違う。
どうして僕ばかり、こんな。
「僕も、幸せになりたい」
それくらい、願わせてくれ。
なれないのならば、それくらい唱えさせてくれ。
それなのに、君は。
それくらいも、許してくれないなんて。
ひどいよ。
赤く染まるナイフ。
赤く染まるパジャマ。
赤く染まる手袋。
赤く染まるジャージ。
赤く染まる、僕の心。
「君ばかり幸せじゃ、不平等すぎるよ」
僕が窓から出るとき、健太君が「ごめん」って言った気がしたんだ。
それはきっと僕の気のせいだけど、少しだけ嬉しくなった。


