テクサレバナ

野次馬の間と間に入りながら、俺は前に進んでいった。


すると、




「嘘でしょ、千紗子、千紗子ぉお………!!


うっ、うぅ………………」




と、近江千紗子の友人が泣いている姿が見えた。


そして、彼女が抱いているのは………血まみれになって倒れている、近江千紗子だった。




近江の体はおかしな方向に曲がっており、内臓が飛び散ってしまっている。


目は赤く充血しており、頭から脳味噌が飛び出している。




とても、さっき屋上で話した近江とは思えない。


これが、これが本当に…近江なのか?




「う…………」




目を覆いたくなるような光景を、俺はだた黙って見ていた。


目を逸らしてはいけないような、そんな気がした。