テクサレバナ

手腐花は、いつものように雪のような白さで、俺を誘ってくれた。




まるで、「触れてもいいよ」「こっちへおいで」と言っているようだった。




触れていいかな。


そっちへいってもいいかな。




俺は手を伸ばす。




「千裕?」




淡く透き通った風のような声で、俺は目を覚ました。




「カレン……」




カレンの顔を見た瞬間、今までこらえてた涙が、一気に溢れてきた。