テクサレバナ

◇  ◇  ◇




明日は、やっと延期されていた文化祭が開催される日。


俺は、近江の分まで頑張って文化祭の準備に取り掛かった。




周りの奴らは「どうしたんだ、お前が準備に参加するなんて」と聞いてきたが、俺は「別に」とだけ答えた。




そんな俺を、悲しそうに如月は見つめていた。




「田中……」




如月が小さく俺の名前を呼んだことすら、俺は気付かずに、俺は文化祭の準備に取り掛かっていた。




近江の分まで頑張らねば。


近江の分まで頑張らねば。


俺のせいで、俺のせいで、俺のせいで


多分だけど、俺のせいで死んだっぽいから。




今は、近江の顔すら思い出せない。




だけど、多分こうしなくてはならないから。




まるで義務を果たすかのように、俺は文化祭の準備をしていた。