テクサレバナ

「何してるの、千裕」


「……手腐花を殺すんだ。


そうすれば、呪いは解かれるんだろ?」


「でも、そうしたら千裕、きっと呪いを解いた反動で、死んじゃうよ?」


「いいんだ、俺なんか。


だって、人を殺した奴が、生きていていいのか……?


近江や森井、中川、更科はきっと、俺より素晴らしい人生を送れたはずなのに、俺のせいで……。


だから、俺は死んでもいいんだ」




カレンは、黙って下を向き、ギリリリリと歯軋りをした。




「………カレン、大丈夫か?」


「……い」


「え?」


「許さないっっっ!!!!!」




カレンは、ばっと顔を上げた。




そこにいたのは、俺達の知っている、あの可愛らしい顔ではなく、まるで鬼のような、この世のものとは思えない程の恐ろしさだった。


大きくてぱっちりとした目からは血涙が流れ、


桜色の唇は真っ赤に染まり、


白くて華奢な手足から血管が浮かび上がり、ピクピクとしている。