昔から私よりも頭のいい翔ちゃん。
私は、そんな翔ちゃんに、いつも助けてもらってたっけ。
「だから早く乗れって」
「うん!ありがと翔ちゃん!!」
笑顔でお礼を言って、翔ちゃんの後ろに飛び乗る。
ちょっと無愛想だけど、それが翔ちゃんの優しさだってわかってた。
だから、今までの素っ気ない言葉も、すごく嬉しいんだ。
すると翔ちゃんは、わたしの両手を掴んで、ぐいっと自分の腰に回した。
「わっ!!」
驚く私に構わず、翔ちゃんは自転車を発進させる。
「スピード出すからちゃんと掴まっとけよ!」
という、少し楽しそうな声とともに。

