「えー、皆さん入学おめでとう。」
校長の長ったるい話を右から左に流し流し流しながら入学式が終わるのをじっと待つ。
「…では、新入生代表。
1年2組陰山咲桜」
(え、私じゃん。)
「はい。」
私は椅子から腰をあげ、
舞台に上がる。
左右から聞こえる声に耳を塞ぎながら。
「暖かな春の訪れと共に、私達は柊木桐〈ひいらぎ〉高校の入学式を迎えることができました。本日は、このような立派な入学式を行っていただき、ありがとうございました。
柊木桐高校の先輩方の優しさ。
先生方の笑顔を毎日見られるのはとても嬉しいです。
受験勉強はとても苦労しましたが、家族や周囲の方々の協力。
自分自身の努力で柊木桐高校に入学出来ることができました。
この喜びを忘れることはできません。
勉強、部活、悔いのない高校生活を過ごせるよう自分自身を向上されていきたいとおもいます。」
…と、スラスラと言って私は席に戻った。
スピーチなどは昔から父の仕事上やってきたからなれていた。
それから知らず知らずのうちに入学式が終わっていた。