咲桜さんが倒れてから1日がたった。


今日も朝の挨拶にと、病院にくると


咲桜さんと病院の先生が話していた。



咲桜さんの病名はガン。


しかも気づくのが遅かった。


俺らがいつもそばに居てながら…


咲桜さんの病気に気づけなかった。


でも、それ以上にびっくりしたのが


咲桜さんが自分の口から学校に行きたいと言ったこと。


今までずっと嫌がってた学校を…


嬉しかった。


咲桜さんを産まれた時から知ってる俺。


なんか我が子を見ているようで、


その子があんなに嫌がってた学校を自ら行きたいなんて…


「…おにーちゃん。


泣いてるの?」


袖を引っ張られ、目を隠してた手を退ける。


そこには小さい男の子が立っていた。


こんな小さな子も病で苦しんでいるのか…


なのにこの世の中は


「死にたい」「死ね」「殺す」


そんな汚い言葉ばかり。


「ううん。泣いてないよ。」


「嘘だ、顔濡れてるよ。

…僕のママもねそうやって泣くの。


でも、『泣いてるの?』

って、聞いたら絶対に

『泣いてないよ』

って、答えるの。」



「…そっか。それは君に心配して欲しくないからじゃないかな?」


「僕に?」


「うん。

大切な人に心配して欲しくないから嘘つくんじゃないかな。」


「僕、ママの大切な人?」


「うん!

きっとそうだよ。」


「そっかー。」


そう言って走ってどこかへ行った。


「一関さん。


子ども好きでしたっけ?」


すぐ後ろに咲桜さんが立っていた。


「…はい。好きですよ子ども。」


ずっと育ててきましたから。


「そぉなんだー


なんか以外。」


そう言って無邪気に笑う顔。


それをガンは奪うのだろう。