コンコン


ドアがノックされた。


その音で目を開けるといつもと違う天井。


周りを見て


やっと状況が掴めた。


「あ、どうぞ。」


「失礼します。」


「先生、おはようございます。」


「陰山さん。おはよう。


どう?調子は。


はい、大丈夫です。」


「そう。


…あのね、昨日言ってた話なんだけどね…」


「はい。」


「…陰山さんは、癌〈がん〉なんだ。」


「ガン…ですか。

それは、治りますか?」


「気づくのが遅かった。」


「なるほど。

…学校には行けますか?」


「薬を飲めば少しぐらいは。


でも、多分だんだん体力もなくなってきて、歩けなくなると思う。


そうすると…もう学校へは行けない。」


「…わかりました。」