彼がすぐに戻ってこないのを確認して
あたしは背負っていたリュックを下ろし
その中から
家から持ってきた包装された袋を取り出した。


そして彼の机に近づき
いくつかある引き出しの
一番下のところにそれを入れた。


その引き出しは彼が滅多に開けないところ。


幼い頃から頻繁にここに来て
一緒に遊んでいた幼馴染のあたしは
それを知っていた。


彼には彼女がいない。


今年のクリスマスも1人なのだという。


彼女がいないということについては
少し嬉しい部分もあるけれど
そんなことは彼には言えない。


かといって彼に直接渡す勇気もない。


だから引き出しに入れたのだ。


引き出しに隠した後は
何事もなかったような澄まし顔で
あたしは床に座った。