「え……!」 少年の方を見ると さきほどの真面目な表情は崩れ、 彼はにっこりとしている。 「ちょうど窓も割れてるしさ、 俺がキミを連れ出してあげるよ」 まあ窓を割ったのは俺なんだけど 、と呟いて 彼は足元にあった箒を拾い、 少女の手を握った。 絶対に放しちゃダメだよ、と言いながら。 右手に感じる温かくて大きな手。 誰かに手を握られるのは初めてである少女は 少し戸惑いながらも 自分の右手にきゅっと力を込めた。