「あははっ、何その顔」 いきなり少年が笑い出した。 「どうしてキミが そんな悲しそうな顔するの?」 ごめんなさい、と短く謝ってから 少女は言った。 「家の外ではあなたみたいに 一生懸命頑張ってる人がいるんだなって思って……。 私、家から1歩も出たことがない 世間知らずなので」 少女の住む家は 誰が見ても大豪邸だとわかるほど 立派なものだった。 つまり少女は 俗に言うお嬢様。