「これでも少しは
大人の女性になったでしょ?」


「どこがだよ。見た目も中身も
まだまだガキんちょだろーが。
だいたい大人ってのはな
相手の短所はオブラートに包むもんなんだよ」


「正直だなあ、沖永くんは」


彼女のそんな一言を耳にして
さすがに言いすぎたかなと思った彼だったが
否定しないところが彼女らしかった。


それどころか


「……でもまあ、そうだね。
だから嫌われ者だったんだよね。
私も、沖永くんも」


なんて呟きながら
少し遠くを見つめる彼女。


彼女の言葉を聞き逃さなかった彼の瞳には
珍しく寂しそうな表情を浮かべた彼女が
映っていた。